文学ファイター

妻は「まさか、あなたみたいな素敵な人と巡り会えるなんて!」と、今でも僕をおだてるんですよ。おだてても何も出ないのに(笑。

新婚

新郎
「え?なんだか野性的な人ですね、って?実は私、職業が勇者なんです。今まで、数々の死闘をモンスターと繰り広げて来ました。仲間との出会いや別れも経験してきました。達観しているとはよく言われますね(笑)」

新婦
「えぇ。恥ずかしながらこの年まで出会いが無かったんです。親にも、『おまえは一体いつ結婚するんだ』と毎日のように言われて。お見合い写真も送ってくるんですよ。そうですね。正直、少し落ち込んでいました」

新郎
「ある日、遂に魔王の居所をつかみましてね。仲間たちと共に、万全の準備をして、城へ突入しました。モンスターどもを蹴散らして、玉座の間にたどり着いたとき、生きていたのは、僕と弓使いと魔法使いだけでした。他の皆はそこにたどり着く途中で……。すいません。これ以上話すと、思い出してしまうので……」

新婦
「部屋でミカンを食べていました。冬はやっぱりコタツにミカンですよね。ただ、一人でコタツに入っていると、一人身の寂しさって言うんですか?それが、なんか来ちゃって。あぁ、私、死ぬまで結婚できないのかな、って」

新郎
「魔王との戦いは正直きつかったですね。魔法使いが幻術を使って私と弓使いをサポートしてくれていたんですが、魔王の魔力も強力で、なかなか隙ができないんです。私も、何度か魔王の懐に飛び込むんですが、これといった攻撃を加えられず。ただ、ほんの一瞬だけ、魔王に隙ができたんです。そこを弓使いがうまく射抜いてくれて。彼が放った弓矢が、魔王の右肩を貫いたんです。私は、剣を斜めに構え、勝利の雄叫びをあげました。『もらったー!!』ってね」

新婦
「なんか、悩み事をしてると、私って一人言とか言っちゃうんですよね。親に『気味わるがられるから、やめなさい』ってよく注意されていたんですが(笑)。で、そのときも気持ちが沈んでて、思わずつぶやいたんです。『誰か、私をお嫁にもらってくれないかなー』って。そしたら、遠くから大声で『もらったー!!』って声が聞こえて。私は嬉しくって思わず応えたんです。『もらわれたー!!』って」

それでは、新郎新婦、初めての共同作業となります。世界平和と、お二人の新しい門出を祝って、皆様、あたたかい拍手をお願いします。

魔王入刀。

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