文学ファイター

鏡。もう一人の私。

幼児の頃の思い出「カガミ」

幼児の頃、初めて鏡を見た時の思い出。

ふと気づくと、目の前に知らない子がいた。今思えば鏡に映った自分自身なんだけど。

で、しばらく私はその知らない子と遊んでいた。知らない子の後ろには私の父親と母親が座っていて、笑顔で私を見ていた。

ふと、その子の後ろに座っている母親が立ち上がって、抱っこしようとかがんだ形になったので、私はてっきり自分のことを抱っこしてくれるのだと思っていたら、母親がその知らない子を抱き上げたので、なんで自分じゃなくてその子のことを抱くんだろう、と思って悲しくて泣いた。ちなみに、その子のことを母親が抱き上げた時、私も後ろから同時に誰かに抱き上げられた。

泣いてると、後ろの私を抱き上げた人に肩をたたかれたので振り向くと、母親がいた。なんてこった。この世界には母親と全く同じ姿をした人間がもう一人いるのだ。

いったいどちらが本物の母親で、どちらが偽物の母親かが私には区別がつかなかった。しかし、私を抱き上げた方の母親は、「当然本物の母親は私である」という振る舞いで私をあやした。

しかし、そんなことは本物の母親か否かの根拠にはならないのだ。私の知らない子を抱き上げた方の母親が本物の可能性だって充分あるのだ。しかし、残念ながら子供の私にはどちらが本物かわからないのだ。

だから、将来大人になったら、私は世界の真実を知るために旅に出なければ、と幼心に固く決意していた。

そんな思い出。

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