小説シンガー

甲子園が始まると、「夏だなー」と思いますよね。私は見ないんですけど。

野球少年

女の子が空から降ってきました。野球少年の僕は、その時、残念ながらミットではなくバットを持っていたので、思わず打ち返してしまいました。女の子は頭を強く打って死にました。

その様子を犬が見ていました。犬は僕に言いました。
「君がバットを振ったのは当然のことだ。君は最初から金属バットを持っていた。バットを持っている人間のところに何かが飛んできたら、君には打ち返す権利がある」

まったくもってその通りだ、と僕は思いました。

犬は、女の子の死体の側まで歩いていくと、二本足で立ち上がり、その大きな右腕で死体を持ち上げ、首から下を食べてしまいました。

そして、女の子の生首を振り回しながら、僕のそばまでのっしのっしと近づき、その生首で僕の頭を思いっきり殴りつけました。

ゴキャッという嫌な音とともに、自分の頭蓋骨が陥没したのを感じ、耳が熱くなりました。僕はその場で倒れ込みました。

薄れ行く意識の中で、犬の声が聞こえました。

「ボーッと突っ立っているから、ボールをタッチされて、君の人生、ここでアウトだ。バッターは、ボールを打ったら塁を走らないと」

まったくもってその通りだ、と僕は思いました。

このエントリーをはてなブックマークに追加