俺は、一体今まで何をやってきたんだろう。生まれてきてから五十年。適当にだらだらと無駄な人生を歩んで、気がついたら家族も友人もいない、一人ぼっちの人生を歩んでいた。もしゼロから人生やり直せるなら、もっと良い人生を送るのに。
と思っていたら、目の前を神様が犬を連れて散歩していたので、慌てて呼び止めた。
「あ!神様!ちょっと待って!」
「ん?なんだい、人間」
「ちょっと願いをかなえてほしいんだけど」
「えー?私が人間の願い事をかなえるのは、その人間の一生を左右するような大事な願い事だけだよ」
「そう!まさに今がその時!俺は人生をやり直したいんだ!!頼む!時間を五十年前に戻してくれ!!」
「え〜?めんどくせーなー」
「お願いしますよ!!神様!!」
「はいはい、分かった分かった。時間を五十年前に戻せば良いんだね?今度こそ人生後悔しないね?」
「もちろん!!絶対にしませんよ!!」
「では、呪文を唱えます。『もどれーもどれー時間よ戻れー』ほーら、だんだん意識が遠のいてきたでしょ?」
神様の言う通り、なんだか頭がぼんやりして、視界が暗くなっていく。
「完全に気を失って、気がついた時には、君は赤ちゃんだ。もちろん、今までの記憶も一切なくなる。人生ゼロから再スタートだ」
よーし、今度こそ良い人生を送るぞー!
意識が途切れる最後の瞬間、神様の声をかすかに聞いた。
「でもね。多分、人生やり直すの、無理だと思うよ?もう記憶は残ってないと思うけど、君からこうやって頼まれて時間を戻すの、これで308回目だよ」