文学ファイター

就職が無事に決まりました。

卑しい職業とハングリー精神の話。

前提1

歴史的に差別されていた民族というのは数多く存在する。もっとも有名なのはユダヤ民族だろう。ナチスドイツにも激しく迫害され逃げ延びた。しかし、迫害されていたはずのユダヤ人は、金融の世界でのし上がった。なぜだろうか。

実は、聖書に「働かずして富を得ることを禁じる」という文章がある。つまり、キリスト教徒はお金を誰かに貸して利率を追加して返してもらうという銀行業が宗教上できなかった。貸金業は卑しい職業だったのだ。

ただ、ユダヤ人も最初から金融業を行おうとしたわけではない。そもそも、ユダヤ人は差別されており、どの職にもつけなかったので「仕方なく」キリスト教徒にはできず、ユダヤ教徒にはできる金融業というものを始めたのである。

前提2

貧困とハングリー精神は密接に結びついている。車という文明利器がないので、一キロメートル歩いて学校に通っている民族と、電車に乗って学校に通っている日本の学生が運動能力を比べたら、一キロメートル歩いて学校に通っている民族の方が優れているに決まっている。でも、別に一キロメートル歩いて学校に通う子は、「運動能力を向上しよう」と思って鍛えているワケではない。

毎晩、銃声の音が聞こえる紛争地帯に住んでいる子と、平和な街に住んでいる日本の子供が戦場に放り出されたら、紛争地帯に住んでいる子の方が生き延びるのが上手いに決まっている。でも、紛争地帯にすんでいる子は、「いざとなったら生きるために一人ででも頑張る」ということを進んで思っているワケではない。

――というわけで妄想モードに突入。

日本は、実は差別されていた人種なのではないだろうか。アジア文化の中心と言えば、昔から中国だった。で、私たち日本人は中国の遠くの海を渡った日本に住んでいる。

昔、職人というのは差別された職業だった。モノ作りというのは、低い身分の者がやることで、高い身分のものは、高尚な文学や礼儀を重んじた。というわけで、中国では孔子やら孟子やらが活躍していた。

日本も、(実在が疑われているが)聖徳太子やら、よく知らないけど学が高い人の方が尊ばれる風潮が確かにあった。

ただ、中国と日本で決定的に違ったことは、日本では職人が重宝されたことだ。モノ作りが、低い身分の者がやることという認識が日本にあまりなかった。

というわけで、中国で低い身分であった職人が、日本で重宝されて、日本に移り住むということがたびたび散見された。つまるところ、中国人にとっての卑しい身分の者が集まる国が日本だったのだ。

でもって、いつの間にか製造業でのしあがったのが日本です。

日本がいつのまにか中国を追い越した背景として、もちろん「職人の存在」というのもキーワードになると思うが、もうひとつ、中国の方が日本よりも国が豊かだったからというのもあるのではなかろうか。

中国の広大な大地に比べ、日本は土地面積がせまく、農業の品種改良などの必要に迫られた。四季の移り変わりが激しく、台風の通り道のど真ん中にあるのが日本であり、地震がしょっちゅう起こるのが日本である。中国に比べ、自然災害の脅威が大きかった。多分、「こんな国に誰が好き好んで住むか」と思われていたのが昔の日本だ。

というわけで、日本人は、そんな環境の中でハングリー精神を手に入れ、必要に迫られてそんな災害に対抗するために技術力を「仕方なく」向上させた。で、それらの結実として、現在の繁栄した日本がある。

が、今の日本は正直言ってやばい。何がヤバいかって、製造業をしている人のことを見下す傾向がある。「そんな危険な作業をしてるなんて、きっと、その仕事にしか着けなかったんだろうなー。給料も低そうだし」みたいな風潮が確実にある。

「私、プログラマーをやっています」とか言えば、鼻で笑われること受け合いである。

しかも、日本人は豊かになってしまった。ハングリー精神なんて、今の若い日本人には皆無。世界と戦おうなんていう気概を持った日本人はほとんどいない。

アメリカがかつて製造業を軽視して日本に外注をし、結果的にアメリカが製造業を衰退させ、日本は経済力の大幅な躍進をもたらした。という歴史を、今度は、日本が製造業を軽視して他国に外注し……ということを、現在進行形で地でやっている日本が、もうやばい。信じられない。中国に追い抜かれるのも無理はない。

ブルーカラー、ホワイトカラーという名称を作って労働者に階層を作ってしまった時点でアメリカの製造業の衰退は決まっていて、その言葉を輸入してしまった日本もまた、製造業の衰退が迫っているのですよ。

若い日本人は「年寄りの頑固ジジイどもは老人のための政策しかしない。将来の日本のことを考えていない。過去のつけを未来に放り投げている」的なことを言っているし、確かにそういう面もあることは否めないけど、でも、そういう頑固オヤジたちが今の繁栄した日本を作り上げてくれたんだ。っていうか、大昔の日本人の祖先たちが行ってきた努力が花開いているのが今なんだ。

でも、正直、私たち若い日本人は将来の日本のためにやっていることは少ない。だって皆、「公務員が勝ち組」って言っている。中小企業の製造業なんて就職する人がほとんどいない。皆、ホワイトカラーという高貴な職業をめざし、ブルーカラーという卑しい職業を軽視している。

このままだと「今」日本は繁栄しているけど、「将来」日本はダメになるかもしれないんだよ。職業の貴賎を考えながら就職活動をしている若い日本の子が将来のダメな日本を作る元凶になるんだよ。

というわけで、今年一年就職活動を行いましたが、無事、中小企業のプログラマーになることが決まりました。最初からプログラマやSEなどのIT企業に勤めたいと思っていたので、自分では満足です――が、その企業が本当に良い企業かどうかは実際に入ってみないと分からない。良い企業だと良いなー。

月残業平均時間が200時間とか言うやばい会社だったら、即刻やめます。なぜなら、私もまたハングリー精神が無いからです。

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