文学ファイター

Words Fighter!!

個人の力が強くなりすぎる

ひと昔前。テレビは民意を代表して、権力を監視する装置だった――なんてことは無かった。テレビは権力なんて監視してなかった。政府とはまた別の権力団体だった。民意なんて、テレビが本気を出せば簡単に操れてた。政治すらも、テレビが本気出せば操れてた。テレビは権力を持ち過ぎてた。

そして現在。インターネットの発展で、個人が簡単に世界に何かを表現できるようになった。相対的にテレビの力は弱まった。ひと昔前よりも健全化した。インターネットの世界そのものがほぼイコール民意だ。権力の監視も、何か政治に問題があれば、皆でワーワー文句言って、理想的に行えるようになった。すごいね。でも、最近思う。個人の力が強くなりすぎてね?

例えば、皆、ネットしてると好きなtwitter発言者とかFacebookとかブログとかあると思う。多分、毎日必ずこの人の書いたのはチェックする的な人っていない?で、好きな人のそういう発言って少なからず自身が影響されない?それがカリスマツィッタラーとかカリスマフェイスブッカーとかカリスマブロガーだったら更に影響されると思う。

だから、例えば一般的には「それは極端な意見だろ」っていう意見でも、カリスマブロガーが発言したら「確かにその考えありかも」ってなって、極端な意見が一般化してしまって、ついにはそれが民意になってしまったりするのだろう。

例えば「日本は素晴らしい国だから、世界政府を作って日本人が大統領になるべき」っていうのは凄い極端な意見じゃん?でも、多分、あなたがネットでチェックしている人達の中の偶然二人がこの意見を大真面目に言っていたら、多分あなたは少し影響されると思う。こんな例を出してる私でも、多分毎日チェックしてるブログの三人くらいが大真面目にこの意見を言っていたら少し影響されると思う。

で、この極端な意見が一般化したら、多分外国との関係に悪影響が出て、それが極端まで行ったら戦争さえ起こりうると思う。コワいね。多分50年後か100年後に起こる戦争のいずれか一個くらいは、ある国の権力者とか有名人の発言とかじゃなくて名も無き一般人のネットでの発言がきっかけで起こると思うよ。

例えば「中国は素晴らしい国だから、世界政府を作って中国人が大統領になるべき」って中国人が言っていたら何を馬鹿言ってるんだろうって思うじゃん?「ロシアは素晴らしい国だから、世界政府を作ってロシア人が大統領になるべき」ってロシア人が言っていたら何を馬鹿言ってるんだろうって思うじゃん?「アメリカは素晴らしい国だから、世界政府を作ってアメリカ人が大統領になるべき」ってアメリカ人が言っていたら何を馬鹿言ってるんだろうって思うじゃん?でも、こいつらがそれぞれ自分の国の民意に逆らえずにガチで世界政府作ろうとしたら、一気にきな臭くなるよね?戦争起こりうるよね?

多分、最初の日本の例出して「戦争起こりうる」って聞いても「なに極端言ってるんだろう」って思ったかもしれないけど、中国、ロシア、アメリカの例出したら「確かにそれは戦争起こりうるね」ってなったと思う。で、なんで最初の日本の例であなたが「戦争」にピント来なかったかというと、あなたが日本好きだからだよ。つまり、心のどこかで「『日本は素晴らしい国だから、世界政府を作って日本人が大統領になるべき』っていう意見は極端だけどありっちゃありだな」って思ってるってことだよ。戦争とか深く考えずに。で、別にこれは日本に限らず、中国人は中国好きだしロシア人はロシア好きだしアメリカ人はアメリカ好きなんだよ。だから、これは日本に限らず他の国がガチで深く考えない民意のせいで世界政府作ろうとする可能性があるってことだよ。

情報の取捨選択の話。インターネットの発展に伴い、世界各国で右傾化が強まったけど、これはそれぞれの国の国民が、インターネットの世界から自分が信じたい情報のみ選択した結果だと思うよ。つまり「私の国は素晴らしい」っていう情報ばかりを選択して、「私の国は最悪だ」っていう情報を捨てた結果だよ。人間は基本的に自分が信じたい情報を信じるんだよ。たとえ「私の国は最悪だ」っていう情報が少々多かったとしても。極端に言えば、「私の国は最悪だ」っていう情報が圧倒的に多くても、少しばかりの「私の国は素晴らしい」っていう情報を見つけたら「ネットで真実を知った。この情報は隠蔽されているのだ」的な論法を持ち出すと思うよ。

例えば私は出身大分県だけどやっぱり大分を褒めてる情報見ると嬉しいよ。でも、意外と大分県、猟奇事件がそこそこあるよ。でも、猟奇事件そこそこあることを情報として知ってても、大分好きだし、「大分最悪」「大分最高」の情報があれば「大分最高」の情報の方を好んで選択するよ。

例えば「大阪」とかネットで(ネタも含んで)ひどい言われようだけど、大阪出身の人は大阪いいよね、って情報選ぶでしょ?東京も悪口言われても東京を褒める情報を選ぶでしょ?

つまり、民意っていうのは実は「その情報が正しいか正しくないか」ではなくて「その情報を信じたいか信じたくないか」で決まる可能性が多分にあるってことだよ。危ないね、民意。

インターネットで何か発言する力を得るっていうのは、一種の「武器を持つ」と同じ行為だと思う。つまり、むかーし昔、テレビなんか無くて、世界大戦も起こってないもっと昔、民衆の一人ひとりが武器を持っていた戦国時代。極端に言えばこの時代は戦国時代と同じ、個人がそこそこ力を持っていて、上に歯向かいえて、下克上もありうる時代だと思うよ。

例えば、あなたのTwitterのフォロワーや、あなたのFacebook・ブログのアクセス数は、この戦国時代のあなたの戦闘力だと思うよ。つまり、あなたの発言の世界への影響力だよ。で、もしあなたの言葉にカリスマ性があるなら、あなたの戦闘力は一気に増大しうるし、あなたが何らか失言したら、あなたの戦闘力は一気に無くなりうるよ。

で、Twitterであなたがフォローしている人や、あなたが毎日チェックするFacebook・ブログは、あなたの領主だよ。ただ、時代は戦国時代だから、あなたはその気になれば下克上出来るよ。「あなたのほうが影響力を発揮しうる」という意味の下克上じゃなくて「あなたはその人を裏切って、その人の評判を落とすような発言が出来る」という意味の下克上ね。うーん。わかりにくいね。例を出せばあなたの領主の発言に何らか失言や誤りがあり、あなたがネット上で議論をふっかけて、もしその議論に勝てば、その人の評判に傷をつけることが出来る、っていう意味だよ。

で、多分昔の織田信長とか武田信玄とかいう名のある戦国大名に匹敵する人が、現在のネットのカリスマツィッタラーとかカリスマブロガーな人たちだよ。ただ、気をつけて欲しいのは、もしその人にカリスマ性を感じたとしても、そいつの人間性も正しいとは限らないってことだよ。

例えばヒトラーがわかりやすいよ。あの人、めっちゃカリスマ性があってドイツ人の愛国心を極限まで高めて世界大戦起こしたよ。ドイツ人がドイツを愛することに対してはいささかも問題ないけど、その愛国心が行き着く先が間違ってたね。

日本の例で言えば、凄い名のある経済学者だけど、痴漢で何度も捕まってる教授とか確かいたよ。例えばTwitterやブログで現在の複雑な世界経済を論理的に解説してる人がいたら、多分その人にそこそこ惹かれるところあると思うけど、そいつは痴漢のクズ野郎だよ。

そう言えばニコニコ動画もそうだね。あれもカリスマ性ある人が結構いると聞いてるよ。でも、ちょっと前にそのカリスマ性のある「歌ってみた」の人が未成年の女の子に手を出して捕まってたね。

あと、私にも気をつけてね。私も隙あらば怪しい新興宗教を開いて、信者からお金を貢がせてダラダラと生きていきたいと思ってるよ。だから、もし私がこのサイトで「宗教作りました!怪しいツボを誰か買ってくれませんか?怪しいです!100万円です!」って書いてたら「お金までは奪えても、私の心は奪われないぞ!!」って思いながら100万円振り込んでくれるといいと思う。「怪しい御札を誰か買ってくれませんか?怪しいです!1000万円です!」って書いたら「お金までは奪えても、私の心までは侵されない!!」って思いながら1000万円振り込んでくれるといいと思う。私も「くそっ!!お金は奪えても、人の心は自由に操れないのか……!!」って泣きながら地団駄を踏むと思う。だから、金はくれ。

民意は人を殺しうる。ちょっと前にある動画が話題になった。車を運転していたあるおじさんが脇を自転車で走っていた中学生の何かが気にくわなくて、いきなり切れてクラクションで煽りだしてその自転車止めさせて、大声で説教かまして、そのおじさん自身が動画をネットにアップしたの。で、ネットで凄い非難されたのよ。そのおじさんが。テレビニュースにも確かその動画が流されて非難されて。おじさん自殺したね。

で、多分、このおじさんが自殺したことに対して、社会の誰も責任を感じてない。動画見て非難コメント書いた人も多分責任を感じてない。もし私がこのおじさんを非難する記事を書いて、その後おじさんが自殺したことを知っても、多分私も責任を感じないと思う。おじさんは何に殺されたかっていうと民意に殺されたんだよね。で、確かに世間一般的に見て動画見る限り、おじさんの方が悪いのよ。中学生がかわいそうだった。でも、もしこれで裁判になってたら、少なくともおじさんは死刑にはなってないんだよね。多分、裁判長にめっちゃ怒られるくらいだと思うんだよ。中学生かわいそうだけど、中学生も大声で怒鳴られただけで、直接暴力を振るわれたわけではないのよ。つまり、私達はインターネットを通じて、全く罪悪感なく人を殺せる力を持ってる。

上の例だと、動画が原因だけど、もしカリスマ性のある人がなんらかの出来事に対して「人を殺しうる意見」をtwitterやブログで言って、もしそれが広まって本当に誰か死んで、それで誰も責任感を感じなかったら、それ超怖くね?極端に言えば、カリスマ性を持っている人はその気になれば故意に偽情報を流して、合法的に殺人を犯すことすら出来る。すごいね。何かを隠すことで完全犯罪を成し遂げるんじゃなくて、おおっぴらに批判して社会的悪人に仕立て上げて自殺に追い込むことで完全犯罪を成し遂げる。すごい。

正直、個人的にはテレビメディアには「政府権力の監視」とかいう政府とか言うザコじゃなくて、「ネットの個人意見の監視」という強敵の方の監視と健全化の役目をしてほしいんだけど。でも、最近のテレビって「外国人から見た日本の素晴らしいところ」をテーマにする番組が多くて、それって典型的な「日本人がそうであって欲しいと思う情報を選択する」で、お前すらネットに影響受けてどうすんだよ、って感じでもうダメだ、テレビは。

「ペンは剣よりも強し」って言葉を聞いたことがあると思うし、私もそうであれば良いなって思ってたけど、最近マジで「ペンは剣よりも強い」時代が来てる。ドン引きするレベルで。戦うこと無く、安全な場所から人を殺せる。言葉だけで。で、最初の方にも書いたけど、多分言葉一つで戦争すら起こりうる。

で、怖いのは、みんなその事にそれ程気づいてないってことだ。あなたが毎日書いてるtwitterやFacebookやブログ、あなたが投稿する動画は、まかり間違うと人を殺すし、まかり間違うと戦争すら起こす。でもって、その武器は失言や勘違いであなた自身すらを殺しうるよ。

だから、例えば小さな「この映画好き」とか「昨日こんなことあった」とかは特に気にすること無く書いてもいいけど、そこそこセンシティブな問題は、人を殺す力を持たないように注意してね。

私達はもともと「言霊(ことだま)」っていう文化があるんだから、言葉の力は感覚的に理解できるはず。この戦国時代、うまく乗りこなせよ、日本人。

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