文学ファイター

なんのこっちゃ。

ハルカさんと武藤くん

ハルカは言った。
「そう言えば聞いてよ。この前、市立図書館で本を借りたらページの間と間に髪の毛が異常に挟まっててさぁ。本を読む前に何か気持ち悪くて吐き気がして、結局読まずに返却しちゃった」

それを聞いてカオリは言った。
「えー。怖ぁーい。それ、何かの呪われた本だったんじゃない?」

ハルカは無い無い、と首を振る。
「だって、髪の毛だけじゃなくて鼻毛っぽいのまであったし。絶対どこかのハゲ親父のだよ」

うわー、確かにそれはハゲ親父のだわ、とカオリも笑う。

ふと、側で二人の会話を静かに聞いていた武藤くんが口を開いた。
「髪の毛だけだったら幽霊っぽいのに、鼻毛が混じると途端にハゲ親父のせいになる。二つとも……同じ毛なのに。それは鼻毛差別じゃないかな?」
悲しそうに微笑んだ武藤くんの横顔を見て、ハルカは胸の微かな高鳴りを感じた。

――もうすぐ春。恋の季節である。

このエントリーをはてなブックマークに追加