文学ファイター

金縛りにあったことが無い。

金縛り

深夜、突然金縛りにあい、俺は目を開けた。

暗闇の中、わずかに開いた襖の向こう側から、微かな息遣いが聞こえた。

無理やり体を動かそうとしても、全く動かない。

襖の奥の気配は段々と強くなり、やがて、みし、みしという襖を開ける音がした。

その襖から、何が現れるのか?唾を飲み込みつつも目を離せなかった。

襖が完全に開き、中から白い着物を着た、長い髪の女が現れた。

何をするでもなく、ただじっと俺を見て立ちつくしていた。

5分……10分……いや、もっと長い時間に感じられた。俺はようやくマバタキをすることを思い出した。

一瞬目を閉じ、もう一度開いたとき、女は目の前にいた。俺の体の上に馬乗りになり、俺の首筋に両手をつけ、締め付ける。

女を振りほどこうとしても体が動かず、どうしようも無い。女は少しずつ力を強くしていき、段々と息苦しくなっていく。

首から感じる女の手の感触は、最初は氷の様に冷たかったのに、いつの間にか炎の様な熱さに感じられた。

女がぶつぶつとなにやら呟いている。

殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる――。

俺は声を出そうとするが、金縛りのせいか。それとも首を締められているせいか。うめき声さえ出せない。

俺は頭の中で叫んだ。

やめろ――!!

突然女はケタケタと笑い出した。

死ぬのが嫌なら私をどかせばいい。ほら、どうした?体の一部でも動かせたら見逃してやるぞ?

俺は頭の中で叫んだ。

見ろ!お前が馬乗りになる前から、今ではこんなに動かしてるぜ!

その途端、女はギャアアアアアアァァァアァァァァァ!と耳をつんざくような叫び声を残し、ふっと消えた。

俺は思った。そりゃな、あんな美人に馬乗りになられたら、ふにゃふにゃチンコもビンビンになるよな。

そんな小話を考えた、あの熱い夏の日の夜――。

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